共鳴り
「起きろー。」


ぎしっとベッドのスプリングが軋み、耳に触れたのは男の声。


いぶかしげに目を開けると、清人の姿に少し驚いた。



「レイコさん襲いにきたんなら残念やったなぁ。
あの人今、お仕事やでー?」


「違ぇよ、馬鹿。」


そう言って、彼は眉を寄せて煙草を咥えた。



「レイコさんから電話貰ったんだよ。」


「…電話?」


「うちのベッドの上の大きな荷物、ジルくんが引き取ってねー、って。
鬱陶しくて眠れやしないんだから、ってさ。」


大きな荷物って、それ俺のことかい。


だから仕方なく引き取りにきたんだよ、と清人の言葉。



「…今って何時?」


「昼過ぎてる。」


「あぁ、そ。」


伸びをしてから、俺も同じように煙草を咥えた。


清人は立ち上がると、相変わらず窓から外の景色を眺めていた。


ここからの眺望が本当に好きらしいけど、飛び降りそうでちょっと心配。



「お前最近、どこで寝泊まりしてるん?」


「ん、企業秘密。」


「あぁ、そ。」


何か、前にも増して無口クンになった気がするが。


陽に照らされてるのが似合わなくて、相変わらず服は黒ばかりを好んでいる。

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