共鳴り
レナちゃんを失うことより、“罪滅ぼし”のために金を稼ぐことを優先していた清人。


嶋さんは、理由を聞いたら俺が後悔すると言っていた。


俺に関係してることやろうとは思ってたけど、頭の中で、全ての糸が繋がっていくことが怖い。


つまりはアイツ、俺を助けるために今まで必死になっていた、ってことや。



「…アンタまさか、レナにまで何かしたんじゃ…」


微かにドア越しに、清人のそんな呟きが聞こえた。


多分、俺や理乃、レナちゃんやマサやアユ、みんな影で清人が苦しみながらに守ってくれてたんやろう。


なのに俺は、今まで何も知らずに居たなんて。


ただ愕然として、立ち尽くしたまま。



「会って、ちょっと挨拶してやっただけだろう?」


「…いつの間にっ…」


「お前があの子の弟の墓参り行く、ちょっと前だよ。」


墓参りって、何?


レナちゃんの弟が死んでる、ってことやろうか。



「アンタ、俺のことまで嗅ぎ回ってんのかよ!
シュウのことなんか関係ねぇだろうが!」


ちょっ、頼むから待て。


少し前、清人が探してた“霧島シュウ”ってのはレナちゃんの弟で、死んでる、ってことやろうか。


頭の中がぐちゃぐちゃになって、意味がわからへん。


俺はそのまま清人の煙草を握り締め、逃げるようにきびすを返した。

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