共鳴り
清人には、俺の生い立ちを話していた。


でもアイツは、何も言わなかった。


引くわけでもなければ同情するわけでもなく、良い意味でへぇ、みたいな。



「みゆき園だろ?
俺も居たことあるらしいぜ?」


そう言われて、逆に驚いたことを覚えている。


清人の家庭の事情は、教師も含めたみんなが面白おかしく言っていた。


やからホンマか嘘かは別として、お互い似たようなシンパシーも感じてたんやろう。



「俺の母親、ちょっと頭おかしくてさ。
だからたまに弟と一緒に預けられてたみたいだけど。」


まぁ、記憶ないんだけどな。


そう付け加え、彼は抜けるような青い空を仰ぎ見ていた。


自分だけが不幸だと思うな、と清人は言っていた。


多分彼は、自分を不幸だなんて思ったことはないのかもしれない。


けど、その意味を初めてその時ちゃんと知った気がして、清人の横顔にちょっとだけ切なくもなったり。


ここにもひとり、身勝手な大人に振り回されてるヤツがおんねんな、って。



「なら、キヨも遊びにくればえぇやん。
園長先生むっちゃ優しいし、きっとみんな、お前のこと迎え入れてくれるわ。」


「…いや、俺が行ってもねぇ。」


「辛いことあったら、ひとりで抱えたらあかんねんて。
やから、寂しくなったらいつでも俺んとこ来いや。」


告白みてぇだな、と清人は笑う。


けど確かに、そんな感じだったのかもしれない。


中二のクソガキがどんなにひとりで踏ん張ってたって、ずっと強がれるはずなんかないんやから。


だから俺は、せめて俺にだけは吐き出してほしかってん。


ある意味愛やで、コレ。

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