共鳴り
バンッ、とドアを開け放ち、どたどたと走って息を切らせば、そんな俺に彼女は目を丸くしていた。


はぁはぁと肩で息をするように呼吸を落ち着けていれば、「どうしたの?」とあからさまに引いたような顔に見つめられるが。



「レイコさん!
知ってる情報、頼むから全部教えて!」


「……はぁ?」


「清人のことでもレナちゃんのことでも嶋さんのことでもえぇねん!」


「いきなり来て、一体何の話をしてるの?
まずは落ち着きなさいよ。」


座るように促されたが、落ち着いてる場合じゃなかった。


無意識のうちに睨み上げてしまえば、レイコさんは諦めたようにため息を混じらせる。



「何かあったのね?」


ひどく優しい声色に、怒りが引いていく自分が居たことに気付いた。


他人の問題事に関わりたくないくせに、結局この人は、いつも俺の話を聞いてくれるねん。


本当は優しい人やって、今更わかったことでもないけど。


俺は一度息を吐き、呼吸を整えてから口を開いた。



「キヨと嶋さん、俺の知らんところで勝手な約束交わしてんねん。
一千万のことやって言えば、レイコさんわかる?」


「えぇ、知ってたわ。」


隠すわけでもなく、彼女は当然のように言ってくれた。


結局、知らなかったのは俺だけ、ってことやろう。



「じゃあ、レナちゃんって知ってる?」


「話には聞いたけど。
ジルくんが飼ってるペットだ、って。」


なら多分、全部知ってるってことやろう。



「それなら話早いし、聞いたこと教えて。」

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