共鳴り
レイコさんは包むことも隠すこともなく、聞いた話よ、と前置きをした上で、全てを話して聞かせてくれた。


聞きながら、俺は悔しさと悲しさでいっぱいになった。





清人も時折、俺と同じようにここに来ては、レイコさんとコーヒーを飲みながら、つまんない会話をして過ごしていたらしい。


レナが、レナが、といつも言っていたそうや。


傍に居れば傷つけるだけなのに、どうせ俺と居たって幸せにはしてやれねぇのに、って。



「それでも傍に居たいと思うのが、愛?」


レイコさんはそう言って笑ってたけど。


なのに俺の所為で、って思うと、どうしようもない想いに包まれていく。


つまりは俺の存在が、レナちゃんまで傷つける形になった、ってことやし。



「大事なものってさ、優先順位つけるの難しいね、って言ってたわ。」


でも清人は、俺を優先させたんや。


あの日、花穂ちゃんを失って悲しみのどん底やった清人を止めるために一緒に居ただけの俺を、巻き込んだと思ってるから。


どこまでアイツ、自分の幸せを考えへんのやろう、って。



「…俺のことは?」


「陸が居てくれたから救われて、だから感謝してるんだ、って。」


胸が締め付けられるのが分かる。


それは俺の台詞やし、俺のがもっと感謝してるやんけ、って。


どうしてこうも、泣きそうになるんやろう。



「金で解決出来る問題なら、俺はアイツのためにいくらでも稼いでやるよ、って。」

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