共鳴り
清人を助けてやりたいし、もう苦しんでもほしくない。


レナちゃんかて清人のこと好きなはずやし、嶋さんにだってちゃんと本当のことを聞きたかった。


でも、俺に何が出来る?


俺はただの“銀メダルの二等賞”で、あの人に聞いたって本心を語ってくれるはずはないやろうし。



「なぁ、レイコさん!
俺はどうしたらえぇん?!」


「…あたしに聞かないでよ。」


「けど!
こんなん誰のためにもならへんし、みんなが傷つくんやで?!」


体を揺するが、彼女は俺から視線を外した。



「アンタ本当にお人好しな子ね。」


「ヌルい考えなん、わかってるわ!
それでもどうにかしたいねん!」


レイコさんが答えを持ってるはずなんてないとわかってるけど、それでも俺は、駄々をこねる子供のようやった。


この人は全部知ってるけど、でもただの傍観者やねんから。



「ねぇ、何で銀二は自分と理乃ちゃんのことを最優先で考えないの?」


「……え?」


「アンタにとって、それが一番大事なんでしょ?
普通なら、ジルくん犠牲にして、踏み台にでもするのが人ってものよ?」


この人は、一体どんな悲しみの中で生きてきたんやろう。


本当に、何も知らない少女のような瞳で、レイコさんは寂しそうに問うてくる。


誰かのために生きることがどういうことか、ただ知らないだけなんやろう。



「レイコさんの人生は、誰かの踏み台にされたん?」

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