共鳴り
『珍しいじゃん、何?』


「いや、電話で話すことちゃうし。
出来たら会って話したいねん。」


『告白?』


清人はケラケラと笑っている。



「何でやねん!
つーか真面目な話や!」


『でも俺、これから行くとこあるし。』


「明日は?」


『わかんねぇけど。
まぁ、一応頑張って空けとくわ。』


結局、わかっていないように軽く返されてしまう。


ちゃんと聞け、と言いたかったが、それより先に「あ、キャッチだ!」の言葉ですぐに通話は途切れてしまう。


携帯片手に俺は、脱力した。



「ジルくんに話して、どうするつもり?」


顔を向けてみれば、レイコさん。



「聞いたこと言ったら、今まで彼が隠してきたことが無駄になるのよ?」


「けど、俺はそんなんで助けられたくないねん。」


「でも、銀二が逆の立場ならジルくんと同じことしてたでしょ?」


言葉が出なかった。


レイコさんが誰かの立場に立って考えることなんてなかったし、おまけに的を射ている言葉や。



「やけど、アイツが今の俺の立場やってもこうすると思うで?」


結局俺らは似てるねん。


そういうの放っとけへんし、自分のことよりやっぱり相手のが大事やねん。

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