共鳴り
それからは、清人は園に遊びに来ることが増えた。


もちろん俺に会いにやろうけど、色んな子に囲まれるんが嬉しかったんやろうなぁ。


清人にとっては、それがちょっとだけ子供でおれる時間やったから。


むちゃくちゃな親と、弟と妹を必死で守りたいと思う気持ち、そんなの全部の中で、自分を押し殺してたんだと思う。


今考えたら、俺らは愛に飢えてたのかもしれない。


別に弱音を吐き出し合うわけでもないし、何か具体的にお互いを助けるようなこともないけど、でも、背中預け合ってる感じ。


とにかく、世間との戦いやったんかもしれんけど。



「俺は親も弟妹も揃ってるけど、多分ここで暮らしてるお前の方が幸せだろうな。」


ぽつりと落とされた、そんな台詞。


どうなるかわからない未来に置いてかれないように、必死やってん。




寂しいとも言えない。

大人でも子供でもない。


けど、背伸びしてるだけで、俺らはただの子供やったんや。





楽しいことばっかでもなかったし、だからって苦しいことばっかでもなかったけど、でも俺は、その都度色んなことを感じられてた。


清人と出会い、忘れかけてたものを取り戻したんやと思う。


だから俺は、いつまで経っても清人のことは、ヒーローやと思ってるねん。


格好良いねん、アイツは。


大親友は、いつの間にか俺にとって、誇りになってた。



「あの頃、キヨくんと居る時のりっくん、すごく好きだったなぁ。」


理乃が昔、そう言ってたわ。


だって何だかんだで清人と居ると、辛くなかったんやもん。


理乃だけやなくて、俺らのこと、みんながそう思ってたんやろう。

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