共鳴り

命と心と

その日はそのままレイコさんちに泊まったけど、怒られることはなかった。


起きたら一番に清人に電話しようと思っていたが、それより先に国光さんから呼び出され、俺は肩を落としてしまう。


まぁ、こんなのよくあることやけど。



「行くの?」


「あららぁ?
レイコさんもしかして俺がおらんの寂しいん?」


少し不安げな顔に笑ってやると、今度は怒った顔に変わってしまう。


そして違うわよ、と言った彼女は俺を見上げた。



「嫌な予感がするの。」


「何やそれ?」


わからないわ、とレイコさん。


こんなの言われたの初めてやし、本当にこの人は、昨日からちょっとずつ変わった感じ。



「心配せんでもえぇやん、別に喧嘩しに行くわけちゃうし。」


それでも俺は、笑いながら彼女の頭を撫でた。


一瞬驚いたレイコさんは、だけどもすぐに自分が子供扱いされたのだと気付き、俺の手を振り払う。



「さっさと行きなさいよ、もう!」


引き留めたくせに、とか思ったけど、俺はそのまますぐに部屋を出た。


レイコさんちのマンションの駐車場からは、清人の車は消えていて、いつの間に取りにきたんやろうと思う。


時刻はちょうどお昼時で、街に人の数は多い。


呼び出された場所に行くと、国光さんが俺に気付き、手を振ってきた。


子供みたいな人や。

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