共鳴り
きっちり奢らされ、事務所に戻るとそこには、嶋さんと清人、他に数人の姿があった。


駐車場で、ばったりみんな出くわした形や。


国光さんが嶋さんを呼び、ふたり、耳打ちを始めたので、俺も清人を呼んだ。



「いや、今それどころじゃねぇのお前も聞いたろ?」


「そうやけど、この話終わったらちょっと付き合ってほしいねん。」


「急ぎの用なら今言えよ。」


清人は面倒くさそうな顔をした。


俺は思わず苛立ってしまうが、怒りをぐっと押し殺したその刹那。


わーっ、と声がして、清人とふたり、驚いた顔を見合わせる。



「何事や?」


声のした方に走ると、嶋さんと国光さんの前に、ひとりの血走った目の男が立つ。


彼は両手でがっちりとナイフを握り締め、その手を震わせていた。


若い衆は驚いたような顔をしていて、瞬間、何か言うより先に清人が飛び出した。



「てめぇ、園田!
んなモン持って何やってんだよ!」


嶋さんと国光さんの前に立った彼に、園田はぐっと唇を噛み締めた。


おいおいおい、これってヤバすぎる状況やん。


ヤツはひとりみたいやし、こっちはこの人数やけど、相手は光モンをチラつかせてるし。



「嶋さん刺すつもりなのか、って聞いてんだよ!」


清人がキレたように捲くし立て、挑発したらあかんやん、と思うが、言葉が出ない。


元々清人が園田を仕切ってたから、ケツ拭くつもりなんかもしれんけど。


ヤバいね、と国光さんが呟いた。

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