共鳴り
「その男を殺して俺も死ぬ!
こっちはもう、借金で首が回んなくて、怖いものなんかないんだからな!」


園田は金切り声で叫んだ。



「死にてぇなら人巻き込むなよ!
元はと言えば、てめぇがくだらねぇ真似してっからだろ!」


「うるさい!」


瞬間、清人はハッと笑った。



「刺せるもんなら俺のこと刺してみろよ!
てめぇ、あんまふざけたことしてっとマジで殺すぞ!」


国光さんは視線だけで俺に合図を送った。


隙を見て行けってことやろうけど、むちゃやで、この状況は。


この中で俺が一番園田から遠いし、何より清人が余計に危険になる。


チッと舌打ちを混じらせたその刹那、傍に居た若い衆のうちのひとりが動いた。


園田はそれを見逃さず、逃げようとしたが、その瞬間に清人が止め、揉み合う形になる。


ヤバい、と思った瞬間やった。



「…キヨ…?」


清人と園田の影が重なり、その場の全員の動きが止まる。


ゆっくりと、清人だけが膝から崩れ落ち、俺は目を見開いたままに立ち尽くしていた。


逃がすな、捕まえろ、と国光さんは叫び、弾かれたように組員がきびすを返した園田を取り押さえる。


倒れた清人に視線を落とすと、アスファルトに広がっていく気持ち悪い色の液体に、俺はゾッとした。



「…清人、おい…」


呟いた瞬間、国光さんに突き飛ばされる。



「邪魔だ、銀二!
何も出来ないなら向こうに行け!」


普段はちゃらちゃらの彼なのに、恐ろしく冷静に、そして的確な指示を出している。


嶋さんの安全を守ろうとする者、園田を抑え込んでいる者、そして倒れたまま動かない清人。

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