共鳴り
レナちゃんは驚いた顔を向けた。


それでも俺は、まるで頭の中を整理するように、事の状況を話して聞かせた。


園田のこと、ヤツの事情、嶋さんを庇った清人のこと。


みんなみんな“人間”で、やから“心”があんねん。


それでも、人間同士やからこそ仕方ない部分もあって、結局のところ、誰かの所為でも何かの所為でもない。


誰も恨むべきじゃないんやと、そういうのが伝えたかった。



「致命傷やないって医者は言うねんけど、だったら何で目覚まさへんねん。」


それなのに、意志とは別に弱気な言葉が口をつく。


彼女は一度も何か言葉を発することもなく、ただ俺の台詞を呆然としたままに聞いていた。


そして車は清人が眠る病院に到着する。


玄関前にはたくさんの車が乱暴に止められていて、みんな清人の心配をしている気がした。


アイツになんか助けられたくないと思ってる人が居たとしても、誰も清人が死ぬことなんか望んでないはずやねん。


俺はお人好しかもしれんけど、そう思う。



「ご苦労様です。」


俺はレナちゃんを連れ立ち、頭を下げながら進んだ。


みんないぶかしげな顔で俺を見るが、そんな中でふと目が合った国光さんは、少し笑っていた。


大丈夫だから、と言われているようで、やっぱりちょっとだけ安心させられてしまうんやけど。


レナちゃんの表情は強張っていたが、それでもこの人数にビビってるという感じではなく、改めて肝の据わった子やと思う。


そんなとこまで清人と一緒や。


5階でエレベーターを降り、更にアイツの病室を探して進んだ。



「嶋さん。」

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