共鳴り
多分この頃の清人って、すっかり落ち着いてたと思う。


最上級生でもあったし、別に誰も清人に喧嘩ふっ掛けたりせんくなってたし。


俺が一緒におったからってのもあるんやろうけど、他校にまで尾ひれ付いた噂が広まってて、まぁ、それのおかげもあるんやろうね。


無駄に金属バット持ってた清人に感謝やわ。


で、問題はここからなんやけど。


ある日のこと、俺が女と家庭科準備室から出てきたところで、清人と遭遇。



「うわー、学校でヤッちゃダメでしょ。」


彼は全てを悟ったように、怪訝な顔で俺を見た。


そして、もう家庭科準備室入りたくねぇー、と言う。



「だって俺、めっちゃ溜まってたんやもん。」


「若いねぇ、陸は。
俺もう学校じゃ出来ねぇよ。」


驚いた。


清人は男らしいヤツやと思ってたけど、ちゃっかりエッチなこともしていたらしい。


出会ってずっと一緒におって、一年やで?


アイツそういうの言わんにしても、限度ってモンがあるやん。


お前、俺とばっかおったやん、って。


女の子と一緒におるとこなんか、見たことないで?


確かに清人は、女子の一部からは格好良いと言われていたのは知っていた。


顔は良いし、喧嘩も強いから、まぁわからんではないけど。


でも清人は、そういうのおくびにも出さず、いつも飄々としててん。


女なんか興味ありませーん、みたいな顔して、しかも俺の知らんとこで。

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