共鳴り
「コイツ、何もかもを背負い込むやろ?
俺と理乃のこと心配する前に、することあったはずやのに。」


レナちゃんは何も言ってはくれなかった。


いつもの清人のように、ただ黙って俺の愚痴にも似た話を聞いてくれる。



「アカンわ。
年取るとしょっぱい話ばっかやなぁ。」


やから俺は、辛うじて笑った。


レナちゃんは清人の手に触れ、視線を落とす。



「…そういう友情、あたしにはないんだ。」


そんな悲しい顔、したらあかんやん。


けど、きっと俺らがこんなことに巻き込んでしまったんやろう。


大事やから手放してしまった俺と、大事やからこそ手放すことが出来なかった清人。



「キヨは俺の中のヒーローやから。
クソ喰らえな人生やったけど、コイツがおったから救われてん。」


そうやんなぁ、キヨ?


お前が大事にしてたんやったら、俺もレナちゃんのこと大事にして、応援してやれば良かった。


清人はいっつも理乃のこと大事にしててくれたのに、って。


やっぱ俺は、どうしようもないアホやねん。


やから、ちゃんと謝りたいねん。



「なのにお前まで先に死んだら、俺どうすればえぇねんな。」


悔しさでいっぱいやった。


こうなる前にどうにか出来たはずやのに、って、もう何度後悔したやろう。


呼吸を落ち着けるように息を吐き、俺は宙を仰いだ。



「俺、ちょっと外の空気吸ってくるわ。」

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