共鳴り
「下に集まってるみんな、何だかんだでジルくんに助けられてるから。」
「…助けられてる?」
「金の段取りしてもらったヤツも居るし、執行猶予中で動けない代わりにジルくんが動いてくれたり。
とにかくみんな、このまま逃げるように死なれちゃ後味悪いと思ってんだ。」
アイツ、そんなことまでしてたんかい。
肩をすくめる俺に、国光さんは言いながら、先ほど差し出してくれたはずの缶コーヒーのプルタブを開け、それを流し込んだ。
「てゆーか、言い出したのは嶋さんなんだけどね。」
「…嶋さん、が?」
「てめぇら少しは考えろよ、ガキにケツ拭いてもらって喜んでんじゃねぇぞ、って。
だからみんな、慌てて集まって、下で右往左往してんの。」
笑ってしまう。
「なのにさ、誰も病室に近づくんじゃねぇぞ、って言い出して。
めちゃくちゃなこと言いながら、何かさっきからすごい怒ってるから、俺は逃げてきたんだけど。」
そして思いついたような顔をして、自らのポケットの中に入れていたものを、俺のシャツのそれに忍ばせてくれる。
視線を落とせばそれは、国光さんにとっては煙草よりも携帯よりも、財布よりも必需品。
「…ガム、くれたの初めてやね。」
「俺も人にあげたのなんて初めてだよ。」
じゃあ何でくれたんやろう。
少し呆れたように笑いながら、俺は宙を仰いだ。
「嫌な世界だけどね、俺らだって血が通ってないわけじゃないよ。」
「わかってるよ、俺、ちゃんと。」
言うと、彼は手をヒラヒラとさせ、背を向けた。
清人が目を覚ましたらきっと、事態は好転してくれると願う。
「…助けられてる?」
「金の段取りしてもらったヤツも居るし、執行猶予中で動けない代わりにジルくんが動いてくれたり。
とにかくみんな、このまま逃げるように死なれちゃ後味悪いと思ってんだ。」
アイツ、そんなことまでしてたんかい。
肩をすくめる俺に、国光さんは言いながら、先ほど差し出してくれたはずの缶コーヒーのプルタブを開け、それを流し込んだ。
「てゆーか、言い出したのは嶋さんなんだけどね。」
「…嶋さん、が?」
「てめぇら少しは考えろよ、ガキにケツ拭いてもらって喜んでんじゃねぇぞ、って。
だからみんな、慌てて集まって、下で右往左往してんの。」
笑ってしまう。
「なのにさ、誰も病室に近づくんじゃねぇぞ、って言い出して。
めちゃくちゃなこと言いながら、何かさっきからすごい怒ってるから、俺は逃げてきたんだけど。」
そして思いついたような顔をして、自らのポケットの中に入れていたものを、俺のシャツのそれに忍ばせてくれる。
視線を落とせばそれは、国光さんにとっては煙草よりも携帯よりも、財布よりも必需品。
「…ガム、くれたの初めてやね。」
「俺も人にあげたのなんて初めてだよ。」
じゃあ何でくれたんやろう。
少し呆れたように笑いながら、俺は宙を仰いだ。
「嫌な世界だけどね、俺らだって血が通ってないわけじゃないよ。」
「わかってるよ、俺、ちゃんと。」
言うと、彼は手をヒラヒラとさせ、背を向けた。
清人が目を覚ましたらきっと、事態は好転してくれると願う。