共鳴り
「しっかし、お前無事で安心したで。」


「あぁ、まぁね。」


どんだけ適当に返すねん。


言ってやりたかったが、どうせコイツは聞き流すんやろうからと俺は、ため息を混じらせた。


みんなが心配してるし、レイコさんも来てくれたのだと伝えたかったけど、レナちゃんがおるし、それもはばかられる。


あんまりこの子に聞かせても可哀想やし。



「キヨちゃん、今度飯奢れやぁ?」


「赤飯?」


「うわー、赤飯は一生禁止やろ。
あんなん不幸な時にしか食ったらあかんで。」


「結局、あん時寿司食ったもんな?」


「そうやんなぁ。
清人くん泣いてたしなぁ?」


「泣いてねぇって。」


レナちゃんに振られた時やけど、彼女はわからなそうな顔をしていて、俺は笑った。


清人が普通の顔で普通の話してたから、俺も心底安心したんや。



「レナちゃん、コイツめっちゃアホやねんで?
寿司屋で赤飯頼もうとすんねん。」


「何で俺の所為なんだよ。
元はと言えばお前が言い出したんだろうが、おっさん脅すとかさぁ。」


「何のことやー?
俺、そんな怖い話してませーん。」


ふんっと鼻で笑ってやると、清人は不貞腐れた。


それから医師が来て、検温したり点滴外したりで、「大丈夫です。」と言われた言葉に、俺はほっと胸を撫で下ろす。


とりあえず、何をするにも清人の怪我が治ってからや。

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