共鳴り
「アカンわ。
俺、ニコチン切れてもうた。」


煙草吸ってくるわの言葉を残し、俺はまた清人の病室を出た。


安心したら余計にどっと疲れに襲われるし、さすがに疲労の色が滲む。


けど、嶋さんらのことも気になるし、俺、清人の分まで頑張らなあかんしなぁ、って。


肌寒い風に撫でられながら煙草を吸っていると、国光さんがそんな俺の元へと近づいてきた。



「銀二、ちょっと!」


「んあ?」


やる気なく問うと、彼は一度呼吸を落ち着け、口を開いた。



「あのね、お前やジルくんにも話さなきゃいけないことがあるんだ。」


「うん、何?」


「いや、俺からじゃなくて嶋さんから。」


「…嶋さん?」


「それでね、出来ればあの子がいない方が良いんだけど。」


つまり、レナちゃんをどっかに連れてってくれ、ってことやろう。


普段の国光さんならお構いなしに病室に乗り込んでいくはずやのに、気を使っているらしい。


それにしても、改まった顔をして、一体何なのかと思う。



「なら、俺戻ってレナちゃんに上手いこと言うわ。」


「うん。」


軽い返事を聞き、けど、と俺は眉を寄せる。



「見てない間にあの子に変なことせぇへんよな?」


「するもしないも、そういう場合じゃないよ。」


いぶかしげに問うたが、困った顔の国光さん。


本当に、俺らに一体何の話をするつもりなのか。

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