共鳴り
とにかく、隠し事の多いのは、この頃から相変わらずなところ。


本人は「いちいち言わねぇだけだろ?」らしいが、一緒や。



「俺、キヨのそういうとこ心配になんねん。」


一度、そう言ったことがあった。


けど清人は、余計な世話焼いてんじゃねぇよ、って言ってキレんねん。


人に心配されるのも嫌いな男や。


深く自分に立ち入られることとか、とにかく嫌いやねん。


そういうとこは、今もちょっと寂しく感じる部分ではあるけど。


多分、自分の内側の脆い部分に触れられんのが怖かったんやろうね。


外側は固いつもりでも、中はぷにゅぷにゅや。


歯を立てたら簡単に壊れてしまうほど、アイツには弱い部分があったから。



「何でも俺に言えや。」


そう言うと、いつも決まって清人は、ちょっと悲しそうな顔で笑うねん。


多分、一番それって難しいことなんやと思う。


言わないことで、プライドを守ってるような男やから。


暴れることで吐き出して、ひとりで乗り越える男やから。


自由に生きてるようで、誰より色んなことに耐えてんねん。


やからもしかしたら、清人にとってはセックスも、吐き出す行為のひとつなんかもしれんけど。


多分アイツの中の闇は、俺が考えてるより、そして俺よりもっと、大きいものやったんかもしれんなぁ。


俺は根っからの明るい子やけど、清人は多分、明るく見せてただけやろうから。

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