共鳴り
正直俺も、疲れ果てていた。


でも、何故だか心地よく感じ、まるで憑きものが取れたような気分やった。


清人が再手術を終え、戻ってきたのはそれから数時間後。


レナちゃんはその手を握るように、一緒にベッドで眠っていた。



「重症患者のベッド半分奪うとは、ふてぇ女だな。」


振り返るとそこには、嶋さんの姿。


欠伸を噛み殺しながら、ドアに体を預けて佇む。



「きっと安心したんやよ。
それに多分、ふたりで居る分にはもう大丈夫やろうし。」


ふっと憎たらしく笑い、嶋さんは俺へと視線を移す。



「…何?」


「別に何でもねぇよ。」


相変わらずぶっきらぼうな台詞で、俺は笑った。


本当は清人やレナちゃんのこと、心配してたくせに、って。



「俺、アンタのこと別に恨んだりしてへんよ。
それに、ホンマの父親よりずっと、親父っぽいと今は思ってんねん。」


言ってやると、嶋さんは驚いたように目を丸くしていた。


珍しい顔をしたなと俺は、やっぱり笑ってしまうんやけど。



「このふたり、子供みたいな顔して寝てるやん?
何か可愛いなぁ、って思えへん?」


嶋さんは答えなかった。


でも、確かに俺には伝わるものがあった気がした。



「ありがとうって、俺ら言ってへんかったよな?」

< 282 / 339 >

この作品をシェア

pagetop