共鳴り
彩は元々、同世代の悪い系のグループとつるんでいた。


彩の元彼ってのは、シャブまで喰ってるようなヤツやった。


ユキオ、という名前らしい。


その男と別れ、キャバ始めた時には落ち着いてたみたいやけど、清人との一件があり、彼女は誰にも相談することなく、ひとりで思い悩んでいた。


苦しくて、逃げたかったのかもしれない。


不安な中で清人と連絡が取れなくなり、そんな時にユキオから連絡があった。


うちの地元ってのは、クスリ一切禁止という取り決めしてるグループが多く、俺が調べさせたこともあり、ユキオの所業が暴露された。


地元に居られなくなった彼は、彩に電話をしたらしい。


一緒に逃げよう、と。



「彩とユキオってのがどこ行ったんかは、俺もわからへん。」


「良いよ、サンキュ。」


清人はそれだけ言い、視線を落とした。


彩のことにしても、少なからず自分の責任を感じているのだろう。



「キヨの所為ちゃうよ?
元彼と一緒に逃げるって決めたんは、彩自身やん。」


「…そう、だけど…」


「考えたらあかんよ。
お前はレナちゃんのことだけ考えてあげたらえぇねん。」


清人は悲しそうな顔をしていた。


本当に、どこまで背負い込みたがるんやろう。


みんなが苦しんで、終わったことなはずなのに、確実に痛みは残っていた。


それを癒すには、まだ時間が必要みたいや。


嶋さんはあの日の夕方、本当に傷害事件起こして現行犯で逮捕された。


園田のことにしても、宮内のことにしても、俺はそれ以上探ることは出来なかった。


もう、国光さんと連絡を取ることはない。

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