共鳴り
車に乗り込み、家まで送ってあげる途中、煙草がないことに気付き、俺はコンビニに寄った。


ホントにコンビニ好きなんだね、とレナちゃんは笑いながら、一緒に車を降りる。



「欲しいモンあったらおっちゃんが買ったるでぇ。」


「良いって、別に。」


「遠慮することないやん。」


何だかいつも、押し問答のようになってしまうが。


彼女の分の飴を取り上げると、何故だか笑われてしまう始末。



「ギンちゃんってさ、実はすごい優しかったんだね。」


「そうでもないやろ。
俺は別に普通やし、キヨの方が優しい子やんか。」


まぁ、レナちゃんとこんな風に普通の会話をする日が来るなんて、思ってもみなかったわけやけど。



「清人の看病してくれてるのに、肝心のレナちゃんが倒れたら、俺は申し訳が立たんねん。」


言うと、彼女は少し驚いた顔をした。



「アイツ、馬鹿やからひとりやといらんことばっか考えんねん。
やから、これは俺の我が儘やけど、レナちゃんにはなるべく清人と一緒に居ってもらいたいねん。」


そしたらアイツは悲しい目をすることはないはずや。


諦めたように、でも少し照れたように笑う彼女の、俺は頭を撫でてやった。


みゆき園に居った時のちっちゃい子にしてるみたいな感じやってんけど、驚いた顔をされてしまい、「ん?」と返す。



「何かお兄ちゃんみたいだね。」

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