共鳴り
「勝手やってわかってるけど、ずっとお前だけやった。
仕事以外で抱いたんも、いっつも一番に考えてるのも、りぃだけやったよ。」


言葉にしてみた分だけ、想いが溢れる。


どれだけの時間を、この言葉が言えるまでに費やしたやろう、って。



「勝手なことばっか言わないでよ!」


瞬間、胸ぐらを掴むように引かれ、驚いた拍子に唇に何かが触れた。


懸命に背伸びした理乃が、口付けをしている。


コイツの行動はいつも、俺の考えでは及ばないことばかりで、ひどく混乱してしまうが。



「…今更っ、りっくん以外なんて考えられないよっ…!」


それは多分、強がりな理乃の、精一杯だったのかもしれない。


いつも俺に追いつこうと必死で背伸びしてるだけの、本当は怖がりなちっちゃい子。



「りぃ、俺めっちゃ馬鹿やねん。」


「…だから?」


「だから、頭混乱してる。」


告白したのは俺やのに、なのに混乱してるのもおかしい話やろうけど。


期待してる自分がおんねん。



「…じゃあ俺、出て行かんくても良いってこと?」


「そうじゃない?」


「…りぃ、俺のこと許してくれるん?」


「許さない。」


けど、好きだよ。


そう言って理乃が不貞腐れるから、俺は笑った。


笑いながらめっちゃ心臓の音が早くて、そして今更体中の熱が上がる。



「りぃにはりっくんしかいないんだよ。」

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