共鳴り
彼女の瞳は真っ直ぐに、俺へと持ち上げられた。



「りっくんが居なくなって、死んだ方がマシだと思った。
寂しくて、でも腹立つのにりっくんじゃなきゃダメなの。」


「…うん。」


「りっくん、いっつもあたしが寝静まった頃におやすみって言ってくれてたのに。」


そこまで言って、理乃は唇を噛み締める。


涙が溢れる瞳を見つめながら、知ってたのか、と思った。



「もう帰って来てくれないんだと思ってた。」


不安にさせてごめん。


そう思いながら、震える彼女をまた抱き締めた。



「俺、お前と向き合うことから逃げててん。」


お互い、近すぎてその存在が怖かったのだろう。


どうすれば良いのかもわからず、結果、傷つけ合ってきた。


素直になれなくて、だから何もかもを遠回りしてきたんだと思う。



「…仕事、辞めたから。」


だからもう、これからふたりで生きよう。


そう付け加えると、また理乃は泣き出した。


本当に泣き虫で、でも可愛くて堪らない。

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