共鳴り
ずっと昔、俺らはこの部屋で、ふたりで寂しさの隙間を埋めていた。


理乃が居たから生きていこうって思えて、理乃が居たからどんな仕事でもした。


もうずっと、俺は理乃が全てやったんや。


きらきらじゃなくても、例え汚れてたとしても、俺はそんな理乃を愛してんねん。



「りっくんが他の女抱くの、許せなかった。」


「うん。」


「りっくんはりぃだけのものなんだよ。」


「うん、そうやね。」


「りぃはずっとりっくんのこと、好きだったんだよ。」


「知ってるよ。」


「…りぃ、すっごい我が儘なんだよ?」


良いよ、と俺は言った。


理乃のそれは、親に捨てられたことからくる恐怖だってことくらい、わかってる。


やから俺は、どうしてもこのお姫様を甘やかしてしまうんやろう。


強がって、でも弱いとこ、いっぱい知ってるから。



「もう絶対、寂しい想いはさせへん。
りぃのこと泣かせたりせぇへんし、俺は我が儘なりぃが好きやねん。」


理乃は顔を俯かせるようにして、俺のシャツを小さく掴む。



「…捨てないで。」


「捨てたりせぇへんよ、俺。」


理乃は涙いっぱいの脆く揺れる瞳を上げる。


ずっとこうやって、俺は理乃に悲しい目をさせていたんやろう。



「ずっと傍に居るから、やからまた昔みたいに、俺の隣で笑ってて?」

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