共鳴り
笑ってて、と言ったはずなのに、やっぱり理乃は泣き出してしまう。


困ったなぁ、と思いながら、俺は笑った。



「お前、どんだけ泣き虫やねん。」


「りっくんの所為だよ!」


「…いや、ごめん。」


その涙を拭いながらも、やっぱり笑いを噛み殺してしまう。


理乃のことが、可愛くて堪らなかった。



「何で謝るのよ、馬鹿!
りっくんは優しすぎるから悪いんだよ!」


「やけど、俺がギューッてすんの、りぃだけやん。」


やっぱり「馬鹿!」と言って、ぺしっと叩かれてしまう。


それでも、彼女の真っ赤な顔は、全てを物語っているのだろう。



「お前、可愛すぎて困るで。」


言った瞬間、驚いたように持ち上がった瞳の隙をつき、キスを落とした。


いたずらに笑い、勝ち誇った顔してやると、また理乃は不貞腐れる。


ふふふん、と鼻歌を混じらせながらきびすを返し、安心しきって緩んだ気持ちのまま、自室のベッドへと体を投げる。


追い掛けてきた彼女は、そんな俺の上に覆い被さった。



「いじわる。」


だって理乃が追い掛けてくることくらい、わかってるから。


とは言わなかったけど、可笑しくて笑ってしまう。



「男の子の部屋に入ってきたら、りぃちゃん襲われても文句言えへんよー?」

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