共鳴り
強がりのまま、真っ赤になった顔で僅かに逸らされた瞳。


そして小さな小さな声で、彼女は「良いよ。」と言った。



「…優しくしてくれるなら、良い。」


思わず声を上げて笑った。


優しくする以外、俺わからへんし。



「それ以上可愛い顔、したらあかんやん。」


上体だけを起こすと、俺の上に馬乗りになった理乃と同じ目線の高さになる。


髪の毛を掬い上げ、それにキスを落とすと、彼女は俺の右手を取った。


無意識のうちに指先を絡め合い、笑いながら唇で触れていく。


おでこ、鼻の頭、頬、そして首筋と、順に確かめながら、鎖骨を舐めた。


びくりと反応する理乃を前に、ぶっちゃけ俺もヤバいけど。



「…余裕そう、だね。」


どこがやねん。


やっぱり理乃は、俺のこと全然わかってへんみたいや。


本当は余裕ぶってるだけだってこと、本当は誰にも渡したくないと思ってること、どんだけ俺が愛してるか、って。



「りぃも喋れる分だけまだ余裕やなぁ?」


意地悪く言ってやった。


清人とレナちゃんは、互いしか居ないと思いながらも、でも縛ったりはしない。


けど、俺らは正反対なんやろう。


刷り込むように、もう絶対に離れないようにと、引き寄せる。



「俺のことだけ考えてないと、優しくせぇへんよ?」

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