共鳴り
愛しすぎて、だから誰にも見せたくないし、渡したくない。


理乃には俺だけで、俺には理乃だけで、それが全てやねんから。


多分俺も結構怖がりで、だから彼女の頭の中を、俺だけで満たしてやりたいのだろう。


1ミリの隙間さえ介在することはなく、吐息を混じらせ、肌を重ねた。



「俺、ホンマはめっちゃ嫉妬深いねんで?」


もちろんそれは、理乃限定やけど。


彼女の胸元に吸いつき、赤く染まったしるしを残す。


あの日、見ないように、見ないようにとしていた理乃を産まれたままの姿にし、また唇に触れた。


綺麗すぎて困ってしまう。


他の誰とも比べられないほど、愛しすぎて困ってしまう。



「…りっくんのこと、すごい好きだよ…」


羞恥に染まった顔で、いじらしい。


珍しく素直すぎな理乃に小さく笑い、ホンマにあかんわ、って思った。


どれだけ言葉にしても足りない想いがある。


この5年、いや、それよりずっと昔からやったのかもしれない、理乃への想いが溢れそうで、また唇に触れた。


もしかしたら俺は、キス魔なんかも、って。



「俺の方が、多分いっぱい愛してるよ?」

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