共鳴り
それってつまり、少なくとも嶋さんは、レイコさんと結婚しても良い、って思ってるんやろうけど。


でも、彼女は相変わらずなご様子や。


待っててくれとも、待ってるとも言わず、そんな会話だけを交わして終わったふたり。



「そしたらその後、国光くんから電話が掛かってきてね?
嶋さんが、俺の部屋はレイコに任せる、って言ってたけど、どうしましょう、って。」


「…で、どうしたん?」


「どうもこうもないわよ。
文句言ってやろうにも、もう捕まった後じゃない?」


だからレイコさんは今まで、嶋さんの部屋の整理や服などの差し入れ、とにかくそういうので忙しくしていたらしい。


やから今まで、家に帰ることが出来なかったのだとか。


まぁ、何だかんだでやってあげるのもまた、彼女らしいところではあるけど。



「そういう勝手なところ、刑務所の中に入ったら、少しはまともになると思う?」


どうかなぁ、とだけ、俺は曖昧に返した。


ふたりの間に恋愛感情めいたものがあるとは思えないけど、レイコさんの気持ちが全然わからへん。


つーか、俺って呼び出されて愚痴られてるだけ?



「今日のレイコさんは随分お喋りやね。」


言ってやると、彼女は驚いた顔の後、少しバツの悪そうな顔に変わる。


いつものクールビューティーとは、ちょっと違って見えた。


笑う俺に諦めたようにレイコさんは、カップを置く。



「あたしね、風俗辞めたの。」

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