共鳴り
レイコさんは俺らにとって、やっぱり姉ちゃんに近いようなものなんやと思う。


だから、同じくらい大好きで、そして大切なんや。



「なぁ、レイコさん。」


彼女は俺を伺うように瞳を上げた。



「最後に本当の年、教えて?」


少しの沈黙。


そして迷うように瞳を動かし、



「……29よ。」


あまりにも彼女が口を尖らせて言うから、また笑った。


年を笑われたと思ったらしいレイコさんは、不貞腐れたような顔になる。



「ほーら、怒ったら美人さんが台無しやんかぁ!」


それでもまだ、俺の笑いは収まらなかった。


可愛い人で、そして子供みたいで、理乃とは違った意味で愛しさを感じる。


俺は落ち着けるように咳払いをし、背筋を正した。



「ちっちゃな幸せでえぇねん。
ひとつでも楽しいこと見つけて、これからも生きような。」


確かに人生は、辛いことの方が多いのかもしれない。


でも、そうだったとしても、死を選ぶことよりはずっと良い。



「あたしはもしかしたら、アンタみたいなのに愛されたかったのかもしれない。」


ありがとう、と俺は言った。


本当に、心からありがとう、って。



「最後にアンタの名前、教えて?」

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