共鳴り
少し驚いて、でも「陸。」と答えた。



「高槻陸。
大陸みたいなおっきい子になって、ってママンが願い込めてん。」


「そう。」


レイコさんは俺の言葉に、満足そうに口元を緩めた。


だから俺も伝票を持ち、立ち上がる。



「陸、ありがとう。」


俺の背中に向けて、彼女は言った。



「俺、サヨナラって嫌いやし。
やからまた会おうね、レイコさん。」


「そうね。」


「アンタは今まで出会った女の中で、理乃とオカンの次に好きやったよ。」


十分よ、と彼女は言う。


互いにそこに、恋愛めいた感情はないんだと思う。


それでもやっぱり少し、寂しさを覚えた。



「いつかまた、レイコさんのコーヒー飲みに行くわ。」


「嫌よ、来ないで。」


いつも通りやった。


そしていつも通り、俺らは別れた。


もしかしたらもう会うことはないのかもしれないけれど、でも、また会いたいと思う。





ありがとう。

ホンマにありがとう。

これ以上ないくらい、感謝してる。




大好きやったよ、レイコさん。






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