共鳴り
冬になるのは早かった。


居酒屋の個室で向かい合う彼は、ビールではなくレモンサワーを注文した。


乾杯して、一緒にアルコールを流し込む。



「キヨちゃん、退院おめっとさん。」


「はいはい。」


「ってことで、今日は清人の奢りな?」


「何でだよ。」


久しぶりのアルコールの味に眉を寄せ、彼は余計に不機嫌さをあらわにしてくれる。


でも、そんなこともまた、嬉しかった。


俺らはそれぞれの生活をし、そしてそれぞれに生き方を考えている。



「レナちゃんは?」


「そのうち来るんじゃねぇの?
何かアイツ、俺のこと無視ですげぇ楽しそうだから。」


ふたりの関係は、清人曰く、今も「気が向いたら会う。」程度らしい。


わけわからへんけど、まぁ、ふたりらしいとは思う。


ちなみに、付き合ってるのかどうかは未だに不明。



「一緒に暮らしたら良いやんか。
その方が色々と楽やん?」


「んー、どうかなぁ。」


清人は焼き鳥を食べながら、視線を宙へと投げる。


あの広くて何もない部屋は解約していないし、未だにたまにしか会わず、そんな関係を貫くふたり。


ぶっちゃけ、金の無駄やと思うんやけど。



「別に、生きてりゃいつでも会えるし。」


それに、と言い、清人はむすっとして、



「アイツ寂しくなったら勝手に俺の部屋来て寝てるし。」

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