共鳴り
ずっと後になって聞いた話やけど、清人は花穂ちゃんが怖かったらしい。


明るくて、太陽みたいで、そんな花穂ちゃんとどうにかなるなんて考えられなかったし、そんなんなって良いとも思わなかったって。


元気で明るいのがあの子の良いとこやのに、可哀想やんなぁ。


多分清人は、自分の闇を花穂ちゃんには見せられんかったんやろう。


夜が好きな男。


パーカーも単車も、いっつも真っ黒や。


例えば気に入ったものがあったとしても、黒がなかったら買わんような男やで?


やから性格まであんなんなるんやろうけど、そんなんにもっと早く気付いてやれてたら、何か変わったかもしれんな。



「なぁ、陸。
見ろよ、鳥が空飛んでる。」


「…普通やん、そんなん。」


清人はたまに、悲しそうに笑うねん。


遠いとこ見つめて、堪えるような顔になんねん。


高いとこが好きで、不意に飛び降りたそうな顔するんが、一番怖かった。


多分花穂ちゃんもそれに気付いてたからこそ、清人に深く立ち入ろうとはせんかったんやろう。


弱かったんかもしれん。


けど、ギリギリで強さが勝ってる感じや。


清人が壊れるなんて思わへんかってん、俺。

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