共鳴り
楽しい時期って、ホンマ何で早いんやろう。


ガキやったから、それが永遠に続くみたいなん、どこかで考えてたんやろうねぇ。




みゆき園はちっちゃなとこやから、中学卒業したら、出なければならなかった。


もちろん大体の子はそれくらいになったら親と普通に暮らせるようになってるし、それより前に戻ったり、里親に引き取られたり。


やから俺みたいなんは、ごく少数やった。


他の施設は知らんけど、みゆき園ではそうやってん。


進学しようなんて考えは、微塵もなかった。


頭悪いし、それ以前に内申はぼろぼろやったろうけど、やっぱ一番は早く大人になりたい、って思いが強かってんな。


自立したかってん。


ずっと前に園を出た兄ちゃんや姉ちゃんらは、俺みたいに働くこと選ぶか、全寮制の学校に行くか。


何人かでルームシェアみたいなんして、必死でバイトしながら頑張ってる人もおったみたいやけど。


奨学金制度もあるし、定時制って選択もあったとは思う。


けど俺は、そんなん全部蹴っ飛ばして、就職を選んだんや。


清人も就職組やった。


花穂ちゃんは、地元の高校に進学。


まぁ、普通の家庭の子やし、それも当然と言えば当然やろうけど。


寂しかったわ、最初は。


自分から子供でおること捨てたけど、やっぱ中学時代は輝いててん。

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