共鳴り
≪第二章≫

トライバル

人が死ぬ時ってな、
いっつも前触れがないねん。

そしていっつも、
後になって後悔すんねん。




何でもっと早く
気付けんかったんやろう。


何でもっと早く
どうにか出来んかったんやろう、って。






俺らがハタチになるより少し前の、春。


花穂ちゃんが大学二年になってすぐの頃やった。


その頃の俺らってもう、てんでバラバラになっててな。


俺は仕事ちょっと認められるようになってきて頑張ってたし、花穂ちゃんにしてもサークルだのバイトだので忙しくしてたみたいやった。


清人も相変わらずで、帰ってきたりこんかったり。


むちゃすることは減ったみたいやけど、やからこそ、どこで何やってんのか余計に不明やった。


けど、もう心配すんのもアホらしいやん?


それに俺ら、そんな子供でもないんやしさ。


元々ひとりで生きていく、って決めてたし、寂しさも飼い慣らしてた頃やったわ。


本当にそれは、突然の出来事やってん。

< 44 / 339 >

この作品をシェア

pagetop