共鳴り
その日、珍しく俺は大残業やった。


雨やったしびしょ濡れで、クタクタの体押して帰ってきて、リビングで一服。


玄関には清人の帰って来てる痕跡と、そして女物の靴。


アイツの部屋のドアは閉まってて、けど、中からは言い争うような声が聞こえてん。


眉を寄せて聞き耳立てようとした瞬間、バンッ、ってドアが開いて。



「花穂ちゃん?
つか、どないしたん?!」


花穂ちゃんが泣いてた。


驚いて声掛けたのに、そんなの無視で彼女はうちを飛び出して。


俺は呆然とすることしか出来ない。



「…キヨ、お前何やったん?」


ベッドに腰を降ろしたまま、清人もまた、焦点の定まらない瞳を滑らしていた。


花穂ちゃんが泣くなんて普通じゃないし、何より清人とあの子がこんな大喧嘩したことなんて、今まで一度もなかったのに。


俺ら、仲良しが取り得やのに、って。



「…花穂が、言うんだよ…」


そう言って、清人は苦しそうに吐き出した。



「好きだったの、って。」


あぁ、ついに言うたんか、って。


俺らの関係はもう、壊れてしまってるし、そのまま終わるんか、こうなるかしかないと思ってたから。


未だ困惑したままの清人の顔を見れば、答えなんて聞くまでもなかった。



「…俺、どうすれば良かった…?」

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