共鳴り
俺ら、あんなに仲良かったやん。


なのにお前、何で俺の方見てくれへんの?


どっちかが殴られたら、考えるより先に相手のこと喰らわしてたやん。




お前、誰やねん?



悲しいやん。

泣きそうやんか。





「だからてめぇは二等賞なんだよ!」


嶋さんが、起き上がることも出来なかった俺に吐き捨てる。


清人はこの10日間で、俺の知らないヤツになっていた。


確かにそれは、自分を馴染ませただけかもしれない。


けど、そんなの割り切れないし、どうにかしてふたりで逃げる術考えてたんやで、俺。


こんなん見て、花穂ちゃん喜ぶと思うん?



「…キヨはそんなんちゃうねんっ…」


俺の呟く声だけが、虚しく消えた。


嶋さんが部屋を出ると、清人は立ち上がり、俺の体を起こしてくれる。



「心配すんな、陸。」


心配すんな、心配すんな。


いっつも清人は俺にそればっかやねん。



「嶋さん殺してでも、何年掛かってでも、お前だけは逃がしてやるから。」







なぁ、キヨ。


お前あの時、自分がどんな顔してたか知ってる?


俺、そんなん望んでんのちゃうで?


それ以降、清人は一度も俺の名前を呼ばなかった。


どちらからともなく住み慣れたあの家を出て、そして俺は、理乃と暮らし始めたんや。

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