共鳴り
元々、国や市町村の補助と寄付金で何とかやりくりしてたらしい。


確かに快適やとは言い切れんかったし、年々虐待とかで預けられる子が増えていた。


それに加えて園長先生は年やし、後継者もおらんかってん。


前から統廃合という名の合併話があったらしいけど、それでもつっぱねてたんやて。


けど、今回倒れたことにより、その話が再燃してんて。


不景気やから、削れるとこ削ろうってことやんな?



「…そん、な…」


「あと一年で、みゆき園は終わるんだよ。」


園長先生は、きっとどうすることも出来んかったんやと思う。


きっとずっと抵抗して、それでもダメやってん。


じゃなきゃ、こんなん言う人ちゃうねん。



「みんなはこのこと知ってるん?!
みんなはどうなるん?!」


あそこは俺の帰る場所や。


確かにヤンチャしたし、いっぱい迷惑も掛けたけど、それでも一番大切な場所やってん。


みんな、俺の家族やのに。



「みんなはまだ知らないよ。
でも、ワシが退院したら話すつもりだ。」


園長先生がどうにも出来んかったのに、俺ひとりが何か出来るわけもなかった。


悔しくて、悲しくて、泣きそうになってん。



「…そんなんあかんよ…」


またみんな、大人の勝手で振り回されるん?


わけわからんとこに放り込まれて、また苦しまなあかんの?


そんなん、絶対あかんねん。

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