共鳴り
俺は途方に暮れた。


けど理乃は、弾かれたように俺を退かし、園長先生んとこ走って行って。



「りぃはりっくんと暮らす!
約束したもん、りっくんと暮らす!」


ぶっちゃけ、そんなん無理やんな?


確かに理乃はこれから中学やけど、俺、やっと成人するようなガキやってんで?


清人とふたりで暮らしながら辛うじて生活しとったのに、理乃やなくても誰かを養うことなんて出来んし。



「りっくんは嘘ついたりしないよね?
りぃのお兄ちゃんって言ったし、一緒に暮らしてくれるって言ったもんね?」


必死そうな理乃の顔に、俺は言葉が出なかった。


園長先生は、陸を困らせるんじゃないよ、となだめる。


みんながそんな俺を囲んで不安そうな顔で見つめていた。


俺、みんなのお兄ちゃんで、目標で、元気やないとあかんかったのに。


それに俺も、嘘つき嫌いやったから。


それはみんなにも言い聞かせてたし、こんな状況でみんなを不安にもさせられなかった。



「わかったよ、りぃ。
どうしてもあかんかったら、俺がお前を育てたるわ。」


清人は多分、俺の考えをわかってくれると思ってた。


アイツかて同じ状況やったら同じこと言うてたやろうし、俺ら結局、そういうの放っておけん人間やねん。


返る場所がない辛さは、誰よりわかるつもりや。


こんなちっちゃくて、どんだけ不安か、どんだけ怖いか、って。


俺は強い男の子やけど、理乃はそうじゃないねん。

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