共鳴り
そして俺はあの事件の後の夏、清人と別れて理乃と暮らし始めた。


清人のトライバルはいつの間にか完成してて、アイツの心の闇のように真っ黒く存在を主張していた。


同じ頃、清人んちでも奈緒子さんとアユの父親が離婚するってなってバタバタしてたって、後で聞いた。


中卒で働いてたマサが、そのままアユ連れてあの家出たのもそんな頃やった。


あの一年で、何もかもが変わったんや。


俺は女騙した金で、理乃のこと育ててた。


アイツ、そんな金やなんて知らずに、りっくんありがとう、大好きだよ、大好きだよ、って。


まだまだ子供やったしな、妹やと思ってたけど、やっぱ辛かった。


理乃は俺がおらんくなってから、養子縁組の話があったらしい。


けど、俺との約束信じてかたくなにそれを拒んだんやて。


そういうのも聞いてたから、余計に大事にしたらな、って思ったし、守ってやりたかってん。





寂しいなぁ。

ふたりっきりやなぁ、理乃。



俺がしっかりしたらなあかんねんな。


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