共鳴り
わけわからんかった。


それでも、
それ以外に生きられんかったんや。



清人も俺も、
それぞれが苦しかってん。





女が泣く。

でも男は笑う。



結局は金やねんな。





汚れた手で、
大事なモン掴めんやん。


触ったら、
それまで汚れてしまうやん。




罪の意識ってな、感じたらあかんねんて。


それやと騙した相手に失礼になるんやて。


国光さんは根っからの詐欺師やった。


嘘でもありったけで愛してやって、そして未練残して捨ててやらなきゃあかんねんて。


ありがとう、って言って、そしたらまた今度、別のヤツに騙されてくれんねんて。




汚ないやん?
汚ないやんな?





「ギンは俺だけ責めりゃ良いよ。」


ギン、って言うねん。


清人はそうやって、俺を庇ってくれんねん。


理乃が俺を“お兄ちゃん”と呼び始めたのも、そんな頃。




俺の名前、
何やったっけなぁ――?


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