共鳴り
なのに、理乃はいつまでも、何も知らない子供じゃなかった。


毎日毎日違う香水の匂い漂わせて帰る俺、携帯にも女からの電話ばっかや。


おまけに帰ってこんこともある。


そんなん普通やないって、誰でもすぐにわかるわなぁ?



「お兄ちゃんはそんなんじゃなかったのに。」


理乃にそれ言われるん、どれだけ辛いと思う?


りっくん、りっくん、って昔は無邪気に笑ってたのに、俺を可哀想な目で見るねん。


理乃のこと、恨んでないよ。


清人のことかて恨んでないよ。


けど、やっぱ苦しさが積もり積もるねんな。




みんなが変わった。
何もかもが変わったんや。



誰も責めることは出来んかった。




中学生の理乃が、俺に恋心抱いてた。


言葉にはされなかったけど、すぐにわかった。


やから俺、“お兄ちゃん”ってわざとのように呼ばれてたんだと思う。


理乃、俺の妹やったのに。


血は繋がってないけど、そんなん関係ないやん。




どんどんどんどん、
何もかもが変わっていくねん。


音を立てて、
崩れ始めんねんな。




どこに戻れば良いんやろう。

みゆき園はもう、なくなってた。


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