共鳴り
俺はレイコさんにとって用心棒みたいなつもりやったけど、彼女曰くやっぱり「迷惑な子。」らしい。


でも多分、信用はしてもらってるんやろうなぁ、とは、何となくやけど思うこと。




晴れも雨も。

暑いのも寒いのも。

原色も人間も。


それこそほとんどや。



“嫌い”って言葉で遮断すんねん。




けど、嫌いって言ってるわりには、そこまでの興味もないねん。


どこか物事諦めてるような口ぶりで、「愛って何?」って言ってたわ。


レイコさんの過去や生い立ち、そういうの何にも知らんけど、もしかしたらこの人もまた、普通の暮らしを得られんかったんかも、って。


捨てられるより捨てる方がちょっとだけ、心が楽になんねん。


レイコさんの世界は遮断されてて、そして時間が止まったような中で生きる人。


そこには期待もないから、必然的に絶望も失望もないねん。



「誰かと関わるなんて損するだけよ。」


だから彼女はいつも、俺に対して馬鹿な子ね、と言う。


少なくとも俺と関わってて、そして関係を断とうともしないくせに、そう言いながら笑うねん。


“馬鹿な子”が嫌いなくせに、面白いやろ?

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