共鳴り
「なぁ、銀二!
これから一緒に飯でも行かない?」


へらへらと笑いながら、国光さんが聞いてきた。


多分この人は、軟派なとこが俺と似てるんやろうと思いながら、良いですよ、と返した。



「じゃあ、嶋さんも呼ぼうか。
そしたら奢ってもらえるし。」


焼肉が良いな、と言いながら、彼はまず店にきっちり3人分の予約をし、そして嶋さんに電話を掛けた。


相談したいことがあるんですよー、なんて適当なこと言ってるけど、そしたら渋々でも嶋さんは来る。


おまけに場所まで指定して、予約は完璧ですからー、なんて付け加えるねん。


天性の世渡り上手であり、嶋さんはいつも、そんな国光さんに呆れ顔やったけど。


とにかく国光さんは、無駄が嫌い。


無駄な時間を使うのも、無駄な金を払うのも、無駄な人間関係でさえも、全部省くねん。


やからまぁ、結局せっかちやねんけど。


それでもいっつもへらへら顔やから、誰も怒るに怒れんねんな。


そして俺は何故か、そんな国光さんに好かれていた。



「銀二は俺の弟みたいなもんだもんなぁ?」


好きなんだぞぉ、だからこれやっといてよー、みたいな。


まぁ、結局は都合の良いパシリなんかもしれんけど。


清人に至っては、そんな国光さんがとにかく苦手なようで、「俺あの人無理。」って常に言ってたっけ。


人に対して無意識のうちに境界線を引きたがる清人やし、そういう人懐っこいのが嫌やったんやろうけど。

< 86 / 339 >

この作品をシェア

pagetop