共鳴り
それから酔っ払った国光さんが清人に電話をして、仕方なしにと言った顔で親友の登場。


国光さんは清人に絡んでいて、「わかったから触るなよ。」と怒られていた。


多分どことなく、奈緒子さんに似てるんやろう。



「そんなに物事全部拒否してたら、きっとジルの目は曇るよ。」


「キミは力を抜くことを知らないんだね。」


「不必要なプライドは、いつか身を滅ぼすんだ。」


国光さんは、清人に対していつもそう言う。


清人はそれ聞いて悔しそうやけど、ホンマそうやねん。


壊れてんのに、それでもまだ、おんぼろのまま走るねん。


出会った時からずっと、清人は変わらずそういう男やった。



「飯は食ってんのか?」


「あんますぐに人殴るなよ。」


嶋さんもまた、父親みたいに清人に言うねん。


誰の所為で、って思いもやっぱあるんやろうけど、俺ら人に心配されたりしたことなかったしなぁ。


どうして良いんかわからんくて、特に清人は寂しそうな目をしてた。



「ジルコニアはダイヤモンドじゃねぇんだよ。」


俺らは結局、無力なガキやねん。


大した力量もないのに自ら色んなモンを背負って、結果がんじがらめになってる。


嶋さんもレイコさんも、国光さんでさえも、そんな俺らを決まって馬鹿と言う。



「銀二は馬鹿だけど受け入れることを知ってる。
けどジルは、抵抗することしか知らねぇ。」


それが俺らの、生きてきた道の違いでもあった。


妥協出来ない分、清人は苦しむねん。


けど、そういう男やねん。


俺は今でもずっと、そんなお前のこと心配してるんやよ?

< 88 / 339 >

この作品をシェア

pagetop