共鳴り
警察の人は、すごく優しかった。


泣きもしなかった俺を励ましてくれて、世話とかしてくれたんや。


けど、いつまでもそういうわけにはいかんから、言うて、役所の人間登場や。


そいつが、親父の居場所を教えてくれた。


なのに、顔も消去したかったアイツんとこ行ったら、嫁さんと子供おるんやで?


俺、知らん間にお兄ちゃんかい、って。


笑えへんわ、ボケ。


何で俺が、オカンが死ぬ原因作った男んとこで世話にならなあかんねん。


後ろで赤ちゃんの泣き声がしててな、アンタ、俺の世話なんかせんかったくせに、こっちは上手くやってんのかい、って。


のうのうと幸せ家族しとる男なんか、殺意さえ覚えたわ。



「アンタが殺したようなモンや。」


気付けばひどく冷静に、そう吐き捨てていた。


そして役所の人間の制止も無視で、さっさときびすを返したんや。


それ以降、親父と会ったことはないんやけど。

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