共鳴り
理乃は高校生になり、更に垢抜けた。


それと共に俺と距離を取るようになったが、それでも壁越しにすすり泣く声が聞こえていた。


それって彼氏と電話してる声が聞こえるのと、どっちがマシなんやろう。


俺はいつも、ひとりで理乃の作った飯を食べるねん。


深夜に、冷たいまま、それでも用意されている。


俺が帰らなくても必ず作り置いているそれを見る度、やっぱりどうしようもない気持ちにさせられた。





理乃の幸せが祝えない自分。

ちっとも幸せそうじゃない理乃。



俺らは“家族”が欲しかったのに。




血の繋がりは重要じゃない。

でも、だからこそ境界線がない。




理乃のこと、抱き締めたかった。




昔みたいに、
一緒に笑い合いたかってん。





けど、俺は汚いから、って。


そういう理性が勝ってたし、だからこそ、理乃を傷つけてるんやとも思う。


男女の愛も、家族愛も全部混同して、やっぱり俺は馬鹿やねん。


近すぎて、わけわからんくなって、お互いに苦しむねんな。




俺はどうしたら良い?


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