共鳴り
「馬鹿か、お前は!
騒ぎデカくしてんじゃねぇよ、何ガキ殴ってんだよ!」


「けど!」


「うるせぇ!
嶋さんにバレたらどうすんだ!」


言われると、俺は唇を噛み締めるようにして、震えの混じる拳を降ろした。


清人はため息を吐き出しながら、男達へと視線を滑らせる。



「散れよ、ガキ共。
二度とこの辺うろつくな。」


ひどく冷静に、そして恐ろしく低い声で吐き捨てた清人に、彼らは恐れをなしたように、もつれる足で散り散りに逃げる。


それを見送り、



「何考えてんだよ、理乃!」


そう言ったのは、俺ではなく清人だった。


理乃はびくりと肩を上げるが、「時間と場所考えろ!」と彼は、さらに彼女に声を荒げる。



「何かあってからじゃ遅ぇんだよ!
遊ぶなとは言わねぇけど、俺らに心配掛けさせてんじゃねぇ!」


多分清人は、アユに怒るような感じだったのかもしれない。


それでも理乃は、ひくっ、ひくっ、と喉を締め付けるように、また泣き出した。


俺らは途方に暮れることしか出来なくなる。



「とりあえず帰るぞ、理乃。」


清人はため息混じりに彼女の手を引いた。



「キヨ!」


「黙れよ、馬鹿が。
てめぇは自分の顔、鏡で見てからにしろ!」


言われ、はっとした。


だけども俺は食い下がる。



「理乃は俺の妹やで?」

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