共鳴り
鏡で見た自分の顔は、最低最悪なものだった。


何で俺は泣きそうやねん、何で傷ついた子供みたいな顔してんねん、って。


やっぱり自己嫌悪やで。


それから清人に連れ立たれて理乃が帰宅したのは、2時間後やった。



「飯食ってなかったんだって。」


真っ直ぐ言うたやん、とは思いながら、少しの時間が経過して幾分冷静になれた頭で、ちょっとだけ清人に感謝した。


多分俺のそういうの、わかってたんやと思う。



「俺もう帰るけど、お前らだけにして大丈夫か?」


「心配すんなや。
俺もそこまでアホちゃうねんぞ。」


なら良いけど、と言いながら、清人はひとりきびすを返した。


パタンと扉が閉まると、俺と理乃の重苦しい帳が下りる。



「もう怒ったりせぇへんから、とりあえずちゃんと話しようや。」


そう言って理乃に座るように促したが、彼女は無言のままに顔を俯かせ、首を横に振る。


俺はそんな姿にため息を混じらせたが、ここで終わらすわけにはいかなかった。


向き合って、話し合わなあかんねん、俺ら。



「俺に対して何か怒ってるんやったら、ちゃんと言わなあかんよ。
もうりぃのそういう顔見たくないねん、俺。」


言った瞬間、彼女は唇を噛み締めた。


肩を震わせ、顔を歪ませ、そこに涙が伝う。



「…りっくんなんか大嫌いだよっ…」

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