夢と現実~恋人はホスト~
Ⅱ 海の見える部屋
「ウチ、来ない?」
初めて部屋に呼ばれたのが9月も終わりの頃。
付き合いだして1ヶ月経った金曜日の夜。
のりくんは海水浴場近くのマンションの、最上階7階に部屋を借りていた。
眼下には砂浜と松林と国道があって、遠くには港とビル郡のイルミネーションが見える。
部屋の中はモノトーンで統一されていて、白い壁、グレーのフローリングに黒い家具。
カウンターには色んなお酒と、綺麗なグラスが並べられていて、すごくセンスが良い。
そんなに広くないルーフバルコニーに、小さなテーブルがあって、夜景を見ながらワインを楽しむ。
何もかもがドラマのセットの様で、それがのりくんにとても似合っていて。
「田端さんが選んだの?お洒落…。」
「ミカ、紀幸って呼んでよ。」
それがきっかけで呼ぶようになった『のりくん』
「のりくんか。。。ま、いっか。」
そう言って、甘いキス。