夢と現実~恋人はホスト~
スーツのジャケットをハンガーに掛けて、のりくんの身の回りを片付ける。
時計やネックレスを外して、いつもの場所に直す。
「ん?名刺入れ…?」
私は何の躊躇いもなく、それを開けた。
桐野 聖
~AKIRA KIRINO~
「はぁ? 誰?」
でも、その名刺には明らかにのりくんの顔写真が印刷されていて…。
私は、水商売には源氏名というのが存在する事を思い出した。
更に、名刺には誕生日が8月20日と印字されている。
…のりくんの誕生日は2月5日だよ…?
なに…?…この嘘の世界は…?
それから…内ポケットから出てくる、他の名刺の数々。
キャバクラ…?らしき店名と、女の子の名前。
☆ゆい☆ とか アヤ とか エリカ とか
今すぐ、のりくんに聞きたいことがある。
だけど…これって、私のヤキモチ?
仕事の為に酔い潰れるまで飲んだのりくん。
とても…聞けない…。